インタビュー
工房 樹輪舎の木工職人、八十原さん

京都の木工職人の方に聞いてみました。

ー今日は北山杉の家具「KITAYAMA-SUGI NATIVE」の加工、製作を行った「樹輪舎」さんの工房にお邪魔させて頂きました。
八十原さん、よろしくお願いします。

八十原(以下敬称略):よろしくお願いします。

ーはじめに樹輪舎さんついてお聞かせ下さい。

八十原:前身の「けやきの樹輪舎」を引き継ぐかたちで5年前、京北町で会社を創業しました。
私自身、けやきの樹輪舎で木の好きな社長の元で12年務めていました。
初めは家具・インテリア全般が好きで、そこに入ることによってそれ以上の木の素材・良さ・温もりに強く魅力を感じこれまで続けてきました。

ー木を使った家具やインテリアの製作をされる会社ですね。
八十原さんご自身について、木を使った家具を作ろうと思ったきっかけは?

八十原:職業訓練校で無垢の家具に触れたのがきっかけです。
木の種類は100種類程、そんな色んな木を触りまた木を使う道具もたくさんありますし、道具によって出来上がるものが変わりますし、子供でもそうですが大人になっても扱いを楽しめるのが木。
それが木の魅力だと感じたからです。
機械も好きだったので機械も使っての製作もし突き詰めていけば奥深いですし、ディープな世界でとても木の魅力に魅了されたのがきっかけです。

ー普段の家具製作のコンセプトを教えて下さい。

八十原:お客様に喜んでもらえるものを作る、それにつきると思います。
それ以上でもそれ以下でも駄目だと思っています。
たとえばただ自分が面白いというだけのものを作っていてはお客様に迷惑をかけてしまうこともありますし、逆にお客さんが喜んでくれるものを目指すだけであればひょっとしたら自分のそこまでの思い入れは必要ないかもしれませんし。
お客さんに喜んでもらえるものを作るには努力をしながら気持ちを抜くことのない、そのような想いをもって作っています。

ー今回、北山杉の家具を製作をされましたが、
これまで北山杉の製品を手がけられたことは?

八十原:学生時代テーブルの脚を作ったことはありました。
周りを削らずに簡単にできて綺麗なものができると思ったので作りました。

ー改めて北山杉に対して感じたことはありますか?

八十原:そうですね。やはり丸太が細いので、木目がすっと通りやすい、上品さを感じます。
磨き丸太もそうですし、やぼったいというよりは上品というイメージがあります。
ただ上品さゆえに、気を使うところが多いです。
油汚れ擦り傷凹み、削ったり磨いたりするととれるが、北山杉の場合は磨いたところが傷がいってしまうので気を使う部分もあります。

ー家具で杉のような木を使うことはあるのですか?

八十原:キャビネットの中の背板、棚板とかあまり重くなってほしくない部分、に軽くてきれいなもので使うことはあります。
表に出すと上品さゆえに主張しすぎてしまうので、メインに使うことは少なかったです。

ー今回KITAYAMA-SUGI NATIVEの塗装で気を使われた部分はありますか?

八十原:表面がすでに仕上がった状態なので、それを邪魔しない色、濃くなりすぎないように、今回は桐油、亜麻仁油を使いました。あと上に漆をコントラストで塗りました。

ーなるほど。
いままで「北山杉」についてどの様な印象をもっておられましたか?

八十原:整然と、人の手で植えられた木が並んでいるのは他とない光景ですね。
手間暇かけ植えられ育った木なのでそれ相当の手をかけてあげないといけないと感じています。
京北町に来て工房を構える前は、北山杉は家具としてはやわらかすぎるのかな?と思っていましたが、こちらへ来てからは人間の努力、力が加わった北山杉はすごいなと感じております。